マフラーを分解しないフィルター洗浄方法と3つのコツをご紹介いたします。
最近のディーゼル車のマフラーは、PM(スス)が溜まるので定期的に洗浄が必要なのをご存知ですか?
もちろん、分解して洗浄というのが通常の作業だと思います。分解できないマフラーも一部あります。
GAMも以前は、フィルターを分解してPM(スス)をスチームで洗浄して乾燥後に組付けをしていました。
この作業は大変で時間もかかりますし金額も時間と共に上がります。
もっと、簡単に作業できればお客様も作業する人にも喜ばれるのに…。
あります!その夢のような事をかなえてくれるものが!!
もちろん、非分解のマフラーにも対応です。
その方法をこれから、順番にご紹介したいと思います。
とはいえ、トラックの修理費用ってすごく高いですよね。
自分で修理が出来るなら部品代だけで済みますが、無理は禁物です。
自分で修理が出来ない場合は、車屋さんに依頼して下さいね。
車屋さんにも修理の参考にして頂けたら嬉しいです。
整備士歴26年の私が、皆さんのお役に少しでも立てればと思いこの記事を書きました。
修理費用はどれくらい?
↓マフラーを分解して洗浄した場合↓
~2t車まで(分解フィルター洗浄)作業時間4~8時間
ガスケットキット(取寄)10000円~
差圧パイプ(取寄)4000円~
作業工賃:診断機使用料8000円
洗浄作業一式25000円~
参考価格:合計47000円~
↓マフラーを分解しないで洗浄した場合↓
~2t車まで(洗浄剤1本)作業時間1~2時間
ディーゼル1 1本 5300円
ディーゼル2 1本 7200円
作業工賃:診断機使用料8000円
洗浄作業一式10000円~15000円
参考価格:合計30500円~
修理費用は高いですか?それとも安いですか?
私なら迷わず分解しないでマフラーの洗浄をしますね。
なぜ、このような金額になるのかを作業内容や修理方法を交えて解説していきたいと思います。
イスズ DPDとは?
まず、DPDとはどういうものなのかを簡単に説明いたします。
DPDは、酸化触媒を用いてCO(一酸化炭素)およびHC(炭化水素)を浄化し、また専用フィルターを用いてエンジンから排出されたPM(スス)を捕集するシステムです。
フィルターにPMが堆積すると、再生(PMを燃焼)を行います。
ECM(エンジンコントロールモジュールの略称でエンジンの働きを制御しています)は、PMの堆積状態をDPD差圧センサー、または走行距離数から検出します。
PMの堆積量が一定量、または走行距離数が一定の距離に達しますと、自動再生を行います。
走行により自動再生が完了しなかった場合は、メーター表示にてドライバーに手動再生を要求します。
再生中はフィルター内の温度が上昇して堆積したPMが燃焼されます。
最適温度に調節するため、ECMは排気ガス温度センサーで排気温度を検出をして、排気管噴射と排気スロットルバルブを制御することで温度を上昇させて、堆積したPMを燃焼します。
一旦再生が開始された場合は、一定時間内に完了しなければいけません。
再生の完了後は、排気差圧を確認することでフィルターの浄化状態が判断できます。
過度のPM堆積量を検出した場合、燃焼が制御できなくなるため再生は行われず、エンジンチェックランプを点灯させます。
DPDはイスズさんの呼び方になります。三菱ふそうさんは、DPFと名前が変わります。日野さんはDPRになります。
基本のPM燃焼の方法・構造は各社ほぼ同じ物(厳密にいうと違いますが…)と考えて頂いていいかと思います。
マフラーの構成部品
前側が酸化触媒で、真ん中がフィルターになっています。一番後ろはケース(中身はありません)だけですね。
フィルターの詰まりを検出する差圧パイプが、前と後ろに付いています。
これがフィルターになります。
黒くなっているのが堆積したPM(スス)です。これを再生によって燃焼させます。
しかし、すべてが燃焼できる訳ではないのです。燃えカスなどは、蓄積されるのでフィルター洗浄が必要になるのです。
これが、新品のフィルターです。部品代は約15万円位します。先程と見比べると違いは一目瞭然ですね。
フィルターが劣化や焼損・破損してしまうと掃除では対処できないので、場合によっては交換をしなくてはいけません。
各メーカーさんのマフラー形状は違いますので、フィルターのみ交換できるものとマフラー全部交換しなくてはいけない物があります。
前側に付いているのが、排気温度センサー2(酸化触媒前)です。
後ろ側が、排気温度センサー1(フィルター前)になります。
差圧パイプの詰まり点検
特に、酸化触媒より前から取り出しているパイプは要チェックです。
なぜならば、ススが直にパイプに入るので詰まりやすいからです。完全に差圧パイプが詰まっているのをよく見かけます。
差圧パイプが詰まると、エンジンチェックランプ点灯やマフラー再生回数が増えたりする原因になります。
酸化触媒とフィルターの間から取り出しているのは詰まりにくいです。このタイプは、差圧パイプが完全に詰まっている車両は見た事がありません。
点検方法は簡単です。私は、センサーに刺さっているゴムホースを外しエアーホースなどに切れ端を取り付けて口で吹くだけです。もしくはエアーガンなどで吹くのもいいかと思います。個人的には、口で吹くほうが診断しやすいです。
吹いても空気が抜けないのは詰まりがある為です。以前は差圧パイプを外して針金などでつついて掃除をしていましたが、次にご紹介する方法を使えば簡単に解決します。
つまる場所は、他のメーカーでも同じ場所ですよ。
この部分です。取り出し口のパイプが曲がっている部分が必ず詰まります。
コツその① 最短差圧パイプ詰まり解消方法
いろいろ差圧パイプの掃除を試しましたが、これが一番早かったです。
作業前には差圧センサーのゴムホースは外しておきます。
GAMの一押しガスバーナーを使います。通常のバーナーは炎温度1400℃位ですが、このバーナーは炎温度1800℃ですのでしっかり焼く事が出来て安心して仕事に使えますよ。
↓差圧パイプの掃除におすすめのバーナーです↓
↑炎温度1800℃でしっかり焼けます↑
先程の差圧パイプ詰まり部分を、バーナーで焼いた直後です。
しっかり赤く焼けているのが分かると思います。
パイプ以外の物には極力熱を加えない様に注意して下さい。火災の原因になりますからね。
ここからが、ポイントなります。パイプに火が入ったら出来るだけ早く差圧パイプの出口からエアーガンで空気を送ります。これで差圧パイプのつまりが解消します。
フィルター洗浄剤注入方法
エンジン停止とマフラー本体が熱くないこと(50℃以下)を確認してください。
フィルター洗浄剤は、必ず酸化触媒とフィルターの間に入れます。
違う場所に入れてしまうと効果が半減してしまいますよ。
メーカー・車種・型式などで入れる場所は違いますので見極めして下さいね。
この【エルフ】マフラーの場合は、フィルター前センサーを外してフィルター洗浄剤を入れます。
センサーを外すのに硬い場合は無理せず、側の筒にバーナーなどで熱を入れるなどをして破損させない様に注意して外して下さいね。
センサーを外すのは14mmで外れますが、クローフットレンチがあれば作業がはかどります。
↓センサー外しに便利な逸品↓
↑価格が安いのでセットで購入がおすすめ↑
今回使用するフィルター洗浄剤
ワコーズさんのディーゼル2を使用します。
この洗浄剤はフィルターに捕集されているPM(スス)を洗浄・分散させる事で、再生による燃焼状態を改善することを目的に作られた商品になります。
この商品のお陰で、マフラーを分解せず洗浄が出来るという訳です。
↓フィルター洗浄剤ワコーズディーゼル2↓
↑分解なしでマフラー洗浄が可能になりました↑
コツその② エルフに必須!洗浄ホースの加工方法
エルフのセンサーから洗浄剤を入れる時に、付属のホースでは奥まで入らずウエスなどで押さえながらしなくてはいけません。もしくは、細いホースを使用するのもいいですが注入時間がかかります。
ですので、ここでひと手間です。ホースの先をこの様にグラインダーなどで細くテーパー状に削ると、センサー穴にピッタリはまり手を放しても洗浄剤が漏れません。一度加工すれば再使用可能ですので捨てずに保管して下さい。
ただし、加工はかなり難しいですので画像を参考に試して下さいね。
コツその③ 次回の作業の為に焼付き・カジリ対策を!
センサーを外した後、そのまま取り付けしてしまうと次回また大変な思いをしなくてはいけません。
ですので、これを塗っておけばスムーズに作業が進みます。
↓高温高荷重のカジリ・溶着を防止します↓
↑ディスクブレーキ組付け時にも便利↑
塗り方は、ねじ山とセンサーの軸に塗るだけです。あとは、通常通り復元するだけですよ。
これで、次回の作業が待ち遠しくなります。
次に紹介するデュトロならプラグのねじ山塗っておくといいですよ。以前、取り外し時にカジった事がありましたので…。
是非、試して下さいね。
デュトロのフィルター洗浄剤注入方法
このデュトロは特に作業しやすいですよ。
酸化触媒とフィルターの間にはちょうどプラグが付いています。
22mmのプラグを外してフィルター洗浄剤をいれます。
プラグ取り付け時にはカジリ防止対策を忘れない様にして下さいね。
キャンターのフィルター洗浄剤注入方法
このキャンターはやり易いですね。型式により入れる場所が異なります。
型式により差圧パイプが酸化触媒より前から取り出して入る場合は、詰まり点検を忘れない様にして下さいね。
差圧パイプのホースを外して、フィルター洗浄剤を入れます。
フィルター洗浄剤入れた後の手順
フィルター洗浄剤を入れて復元作業をします。
注入後、約10分間洗浄剤がフィルターに行き渡るのを待ちます。
待っている間に次に紹介する、インジェクタークリーナーを燃料タンクに入れます。
10分後経ちましたら、エンジンを始動してアイドリングで約30分間暖気をします。
水温が上がり暖気が完了しましたら、診断機などを使い強制再生を行います。
診断機がない場合、フィルターの詰まり具合にもよりますが再生ボタンを長押しすれば任意手動再生が出来る場合もあります。(出来ない場合もあり)※本体の再生ができない場合は、走行して自動再生させてもいいみたいです。
再生完了後、診断機で故障コードを確認して問題なければ終了です。
インジェクタークリーナー注入方法
インジェクタークリーナーは燃料タンクに入れるだけです。
↓インジェクター専用添加剤です↓
↑トラブル予防に定期的に入れると安心です↑
ただし、インジェクタークリーナーの注意書きを確認して入れて下さいね。
併用して燃料ライン清掃にフューエルワンもおすすめです。
↓定期的に使用して燃料ラインもスッキリ↓
↑ガソリン・ディーゼルどちらでも使えます↑
GAMの自家用車には1年に一度入れていますよ。
マフラー強制再生
ここからは、診断機を使用してマフラーの強制再生をします。
ススの溜まり具合によっては、スイッチ長押しで任意手動再生をする事も可能です。
普段使用しているスキャンツール(診断機)
作業する上で必ず必要になるのがスキャンツール(診断機)ですね。これがなければ始まりません。
バッテリーを外して消去(出来るか分かりません)などはしない様にして下さい。
トラブルの原因になりますのでスキャンツールを使用しましょう。
GAMが使用しているのはG-SCN2でしたが、【G-SCN Z】を導入しました。
やはり、コード付の方が準備も早く充電の必要がないので一番のオススメです!!
↓イチオシ!今使用しているコンピュター診断機↓
↑値段は高いですが自動車修理には必須品です↑
車種により相性が良くない事もあるので、メーカー違いで【バンザイ MST-nano】も使用しています。
↓無線接続できるのでコードが気にならない↓
↑Windows OS搭載スキャンツール!OBD検査にも対応↑
両方使用した個人的な感想は、故障診断がメインなら断然コード付【G-SCN Z】がオススメです。
【バンザイ MST-nano】も無線で便利なのですが、準備に少し手間がかかるのとデータ表示にタイムラグがある為、GAMの所では故障診断にも使いますが主にOBD検査時に使用する予定です
スキャンツールの作業サポートから強制再生をします。
強制再生完了しましたら、故障コードを確認して問題なければ完了になります。
スムーズにいけば全行程を約1~2時間程で出来るかと思います。
これですべての作業完了になります。お疲れさまでした。
この記事を参考に作業する上での注意点
この記事は、整備書にない手順・方法や私自身のオリジナル修理・整備方法なども書いておりますので作業される場合はすべて自己責任なりますので注意してください。
参考修理費用・部品価格
↓マフラーを分解して洗浄した場合↓
~2t車まで(分解フィルター洗浄)作業時間4~8時間
ガスケットキット(取寄)10000円~
差圧パイプ(取寄)4000円~
作業工賃:診断機使用料8000円
洗浄作業一式25000円~
参考価格:合計47000円~
↓マフラーを分解しないで洗浄した場合↓
~2t車まで(洗浄剤1本)作業時間1~2時間
ディーゼル1 1本 5300円
ディーゼル2 1本 7200円
作業工賃:診断機使用料8000円
洗浄作業一式10000円~15000円
参考価格:合計30500円~
4t車(洗浄剤2本)
ディーゼル1 1本 5300円
ディーゼル2 2本 14400円
作業工賃:診断機使用料8000円
洗浄作業一式10000円~15000円
参考価格:合計37700円~
10t車(洗浄剤3本)
ディーゼル1 1本 5300円
ディーゼル2 3本 21600円
作業工賃:診断機使用料8000円
洗浄作業一式10000円~15000円
参考価格:合計44900円~
作業手順のまとめ
差圧パイプに詰まりがないか点検します。
エンジン停止とマフラー本体が熱くないこと(50℃以下)を確認してください。
フィルター洗浄剤は、必ず酸化触媒とフィルターの間に入れます。
違う場所に入れてしまうと効果が半減してしまいますよ。
メーカー・車種・型式などで入れる場所は違いますので見極めして下さいね。
フィルター洗浄剤を入れて復元作業をします。
注入後、約10分間洗浄剤がフィルターに行き渡るのを待ちます。
待っている間に、インジェクタークリーナーを燃料タンクに入れます。
10分後経ちましたら、エンジンを始動してアイドリングで約30分間暖気をします。
水温が上がり暖気が完了しましたら、診断機などを使い強制再生を行います。
診断機がない場合、フィルターの詰まり具合にもよりますが再生ボタンを長押しすれば任意手動再生が出来る場合もあります。(出来ない場合もあり)※本体の再生ができない場合は、走行して自動再生させてもいいみたいです。
再生完了後、診断機で故障コードを確認して問題なければ終了です。
今回紹介した工具・用品のまとめ
↓差圧パイプの掃除におすすめのバーナーです↓
↑炎温度1800℃でしっかり焼けます↑
↓センサー外しに便利な逸品↓
↑価格が安いのでセットで購入がおすすめ↑
↓フィルター洗浄剤ワコーズディーゼル2↓
↑分解なしでマフラー洗浄が可能になりました↑
↓高温高荷重のカジリ・溶着を防止します↓
↑ディスクブレーキ組付け時にも便利↑
↓インジェクター専用添加剤です↓
↑トラブル予防に定期的に入れると安心です↑
↓定期的に使用して燃料ラインもスッキリ↓
↑ガソリン・ディーゼルどちらでも使えます↑
↓イチオシ!今使用しているコンピュター診断機↓
↑値段は高いですが自動車修理には必須品です↑
↓無線接続できるのでコードが気にならない↓
↑Windows OS搭載スキャンツール!OBD検査にも対応↑
GAMの記事はいかがでしたか?
皆さんのお役に少しでもたてましたか??
最後まで読んでいただきありがとうございます。
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