ガソリン暫定税率廃止のデメリットを解説!時期や将来の負担増は?

ガソリン暫定税率廃止のデメリットを解説!時期や将来の負担増は? 自動車整備・修理
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ガソリン暫定税率廃止のデメリットを解説!時期や将来の負担増は?

こんにちは。【自動車整備士】GAMの頭の中、運営者の「GAM」です。

2025年に向けて、ニュースや新聞で連日のように取り上げられている「ガソリン税の暫定税率廃止」。

私たちドライバーにとっては、長年悩み(苦しみ)の種だったガソリン価格が、ようやく安くなるという非常に嬉しいニュースとして聞こえてきます。

リッターあたり約25円も下がるとなれば、毎日の通勤や休日のドライブ、仕事での移動において、家計の負担が劇的に軽くなることは間違いありません。

しかし、整備士として日々多くのお客様や業者さんと接していると、このニュースに対して「手放しで喜んでいいのだろうか?」「何か裏があるんじゃないか?」といった不安の声も耳にします。

実際に情報を深く掘り下げていくと、単純な値下げだけでは済まない、複雑な事情や構造的なデメリットが見え隠れしてくるのです。

いつから廃止されるのか、なぜ軽油と時期が違うのか、そして将来的に私たちの税負担がどう変わってしまうのか。

今回は、そんな皆さんの疑問や不安に寄り添いながら、現役の自動車整備士としての視点も交えて、この問題の深層を分かりやすく徹底解説していきます。

記事のポイント
  • ガソリンと軽油で廃止時期が異なることによる現場や物流の混乱
  • 暫定税率廃止後の補助金終了や価格変動、安定供給のリスク
  • 道路整備や除雪など地方財政への深刻な影響と住民サービスの低下
  • 将来的に懸念される走行距離課税や消費税増税など、新たな負担の可能性
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ガソリン暫定税率廃止のデメリットと開始時期

ガソリン暫定税率廃止のデメリットと開始時期
【自動車整備士】GAMの頭の中・イメージ
  • 廃止はいつ?2025年末のスケジュール
  • 軽油との時期ズレが招く市場の混乱
  • トリガー条項との関係と制度の違い
  • 補助金の終了と価格乱高下の恐れ
  • ガソリンスタンド経営への在庫リスク

およそ半世紀もの間、「暫定」という名のもとに続いてきた上乗せ課税がいよいよ廃止される方向で動いています。

これは日本の税制史上でも特筆すべき大きな転換点ですが、その実施時期やプロセスには、あまり知られていない複雑な仕掛けがあります。

まずは、具体的にいつから安くなるのか、そしてそのスケジュールの裏側で生じる可能性がある、市場や物流現場での混乱・デメリットについて、詳しく見ていきましょう。

廃止はいつ?2025年末のスケジュール

廃止はいつ?2025年末のスケジュール
出典:読売新聞オンライン

現在報じられている与野党の合意内容や政府の方針によると、ガソリン(揮発油税及び地方揮発油税)の暫定税率分であるリッターあたり25.1円の廃止は、2025年12月31日とされています。

つまり、法律が変わらなければ、2026年の1月1日、元日からガソリン税が本来の税率(本則税率)に戻る形になります。

私たち消費者にとっては「お正月早々、ガソリンが安くなるお年玉だ」という朗報に見えます。

しかし、この決定に至るまでには長い歴史と複雑な経緯がありました。

もともと暫定税率は、1974年に道路整備の財源不足を補うために「一時的な措置」として導入されたものです。

それが延長に延長を重ね、道路特定財源が廃止されて一般財源化(使い道が道路以外にも広がったこと)された後も、事実上の「本則」として定着していました。

今回、この長年の慣習を打破して廃止に踏み切ることは評価されるべきですが、一方で急激な税収減(国と地方を合わせて年間約1.5兆円規模)を伴うため、制度設計は非常にデリケートです。

「廃止=即解決」ではなく、ここからが本当の調整の始まりとも言えます。

年末というタイミングは、税制改正大綱の決定や予算編成のスケジュールに合わせたものですが、年末年始という物流や人の移動が最も激しい時期に価格が大きく変動することになります。

ガソリンスタンドの現場では、価格表示の変更やレジシステムの設定変更など、年越しの瞬間に向けた対応に追われることになるでしょう。

暫定税率(当分の間税率)とは?

本来の税率(本則税率)に上乗せして徴収されてきた特例的な税金のことです。

ガソリン(揮発油税+地方揮発油税)では合計53.8円のうち約25.1円が、軽油(軽油引取税)では32.1円のうち約17.1円が、この暫定分にあたります。

これが廃止されることで、理論上はその分だけ店頭価格が下がることになります。

(出典:財務省『自動車関係諸税・エネルギー関係諸税に関する資料』

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軽油との時期ズレが招く市場の混乱

軽油との時期ズレが招く市場の混乱
【自動車整備士】GAMの頭の中・イメージ

今回の制度変更において、現場が最も警戒していたのが、ガソリンと軽油(ディーゼル)で廃止のタイミングが異なるという点です。

ガソリンの暫定税率廃止は2025年12月31日ですが、軽油(軽油引取税)の暫定税率廃止は2026年4月1日と予定されています。

ガソリン税(国税)と軽油引取税(地方税)という管轄の違いから生じたこの「3ヶ月間のタイムラグ」。

当初は「1月〜3月の間、軽油だけが高いままになり、ガソリン価格と逆転するのでは?」と危惧されていました。

しかし、ここで最新の政府方針として「つなぎ補助金(激変緩和措置の拡充)」が発表されています。

これは、軽油税制が変わるまでの期間に、2025年11月末ごろから補助金を引き上げて最終的に17.1円/Lまで増額し、その水準を2026年3月末まで維持することで、「実質的にガソリンと同じタイミングで値下げを行う」という措置です。

これにより、ユーザー目線での極端な価格差や逆転現象は回避される見込みとなりました。

一見すると「解決した」ように思えますが、実はここからが整備士やSS現場にとっての「本当の混乱」の始まりとも言えます。

「税金で下がるガソリン」と「補助金で下がる軽油」。

仕組みが全く違うものが混在することで、現場オペレーションは複雑怪奇なものになりかねないのです。

想定される現場の混乱シナリオ

  • 「安くなっている」ことの周知不足:「軽油の税金がなくなるのは4月から」というニュースだけが独り歩きし、1月時点で「すでに補助金で安くなっている」ことに気づかない事業者が発生する恐れがあります。
    「4月まで待ったほうが得だ」という誤解による買い控えや、それに伴う物流計画の乱れが懸念されます。
  • 補助金と減税の切り替えミス:3月末で「補助金」が終わり、4月1日から「減税」に切り替わる際、システム上の価格反映がスムーズにいくとは限りません。
    「昨日まで補助金で安かったのに、今日から減税スタートまでの数日間だけ値段が上がってしまった」といった空白期間が生まれ、店頭でトラブルになるリスクがあります。
  • 運賃交渉の複雑化:荷主側から「ガソリンも軽油も下がったのだから運賃も下げろ」という圧力が強まるでしょう。
    しかし、軽油の下げ幅が「補助金頼み」である以上、いつ制度が変わるか分からない不安定さは残ります。
    運送事業者としては、長期的な運賃契約を結びにくいという板挟みの状況は変わりません。

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トリガー条項との関係と制度の違い

トリガー条項との関係と制度の違い
出典:毎日新聞

この話題を追っていると、「トリガー条項はどうなったの?」という疑問を持つ方も多いでしょう。

これまで野党を中心に主張されてきた「トリガー条項の凍結解除」と、今回合意された「暫定税率の廃止」は、似ているようでその性質は全く異なります。

この違いを正しく理解していないと、今後のニュースを見誤る可能性があります。

トリガー条項とは、ガソリン価格が3ヶ月連続で160円を超えた場合に、自動的に暫定税率分の課税を停止し、逆に130円を下回れば再び課税するという「一時的な緊急避難措置」です。

2010年に導入されましたが、東日本大震災の復興財源確保などを理由に凍結されていました。

この仕組みの最大の弱点は、価格変動によって税率がコロコロ変わるため、流通現場や消費者が混乱しやすいという点でした。

一方、今回の「暫定税率の廃止」は、法律そのものを改正して、上乗せされていた税率を恒久的に削除するという、より抜本的な改革です。

項目トリガー条項発動(凍結解除)暫定税率の廃止(今回の決定)
仕組み価格基準(160円超など)で自動的に税率を上下させる法改正により、上乗せ税率そのものをなくす
期間価格が下がれば元の税率に戻る(一時的)基本的には元に戻らない(恒久措置)
安定性価格変動により発動・終了が繰り返されるリスクあり一度下がれば制度としては固定される
財源への影響一時的な減収将来にわたる構造的な巨額減収

トリガー条項はあくまで「高騰時の特例」でしたが、今回の廃止は「制度の完全な終了」を意味します。

これは私たちにとって「いつ元の高い値段に戻るかビクビクしなくて済む」というメリットがある反面、国や地方にとっては「安定した財源を永久に失う」ことを意味します。

そのため、一度廃止してしまうと、将来的に財政が厳しくなったとしても、簡単に元に戻すことはできません。

この「後戻りできない決断」が、後に述べる新たな増税議論の引き金になる可能性が高いのです。

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補助金の終了と価格乱高下の恐れ

補助金の終了と価格乱高下の恐れ
出典:日本経済新聞

現在、ガソリン価格の高騰を抑えるために政府が石油元売り各社に支給している「燃料油価格激変緩和措置(いわゆるガソリン補助金)」ですが、政府は暫定税率廃止の実現に向けて、この補助金を暫定税率と同程度の水準まで拡充したうえで、暫定税率の廃止に合わせて終了させる方針を示しています。

ここで非常に心配なのが、「補助金の終了」と「減税(暫定税率廃止)の開始」のタイミングが、パズルのピースのように綺麗に噛み合うのか?という実務的な問題です。

もし政府の読みが外れて原油価格が急騰したり、円安がさらに進行したりした場合、補助金が終了した分だけ店頭価格が跳ね上がり、減税が始まる前や減税効果が十分に浸透する前に、一時的な「価格急騰の空白期間」が生まれる恐れがあります。

また、仮にタイミングが合ったとしても、市場には「卸価格」と「小売価格」のタイムラグが存在します。

補助金は卸価格(元売りからスタンドへの販売価格)を抑えるものですが、減税は税法上の措置です。

これらが切り替わるタイミングで、元売り各社やスタンド側が在庫コストや利益率の調整を行うため、減税初日からきっちり25.1円下がるとは限りません。

「テレビでは25円下がると言っていたのに、近所のスタンドは10円しか下がっていないじゃないか!」といった不満が爆発し、スタンド店員へのクレームが増加したり、安い店を探して車が特定の店舗に殺到して渋滞を引き起こしたりするなど、価格の乱高下に振り回されるリスクは十分に想定しておく必要があります。

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ガソリンスタンド経営への在庫リスク

ガソリンスタンド経営への在庫リスク
【自動車整備士】GAMの頭の中・イメージ

私たち給油する側からはほとんど見えませんが、ガソリンスタンド(SS)の経営者にとって、税率の変更は死活問題になりかねない「手持ち品課税(在庫評価)」という深刻なリスクをはらんでいます。

これを理解すると、なぜ地元の小さなスタンドが減税を単純に喜べないのかが見えてきます。

ガソリン税(揮発油税)は、実は私たちが給油する時ではなく、製油所からガソリンが出荷された時点(蔵出し時)で課税される「蔵出し税」という仕組みをとっています。

つまり、ガソリンスタンドの地下タンクに入っているガソリンは、すでに「高い税率(暫定税率込み)」が上乗せされた状態で仕入れられたものなのです。

では、2026年1月1日に暫定税率が廃止されたらどうなるでしょうか?

SS経営者を襲う「逆ザヤ」の恐怖

スタンドの地下タンクには、年末までに仕入れた「高い税金のガソリン」が大量に残っています。

しかし、年が明けた瞬間から、世の中の相場は「税金が安くなった価格」になります。

経営者は、高い仕入れ値のガソリンを、安い売値で販売せざるを得なくなり、その差額(リッター約25円)がそのまま巨額の赤字(在庫評価損)となってのしかかるのです。

例えば、地下タンクに2万リットルの在庫を持っていた場合、単純計算で約50万円もの損失が一瞬で確定してしまいます。

実際に、国も業界団体の要望を受けて、油槽所在庫に対する税額の調整や還付・控除措置を講じることとしていますが、その手続きには在庫量の厳密な計測や煩雑な申告書類の作成が必要です。

人手不足にあえぐ地方の小規模SSや高齢の経営者にとって、この事務負担と一時的な資金繰りの悪化は致命傷になりかねません。

「減税対応が面倒でもう店を畳もう」という廃業の引き金になり、結果として「給油所過疎地」がさらに広がるという、ドライバーにとって最大のデメリットにつながる恐れがあるのです。

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ガソリン暫定税率廃止によるデメリットと将来負担

ガソリン暫定税率廃止によるデメリットと将来負担
【自動車整備士】GAMの頭の中・イメージ
  • 地方財政の悪化と道路財源の不足
  • 走行距離課税などの新税導入リスク
  • 消費税などの増税につながる可能性
  • 脱炭素社会や環境政策への悪影響

「ガソリンが安くなるなら、少しくらいの混乱は我慢できる」と思うかもしれません。

しかし、今回の廃止によって失われる税収は、国と地方を合わせて年間約1.5兆円という莫大な金額です。

この巨額の穴埋めをどうするのか、恒久財源が確保されていない現状では、そのツケが巡り巡って結局私たち国民に回ってくるのではないかという懸念が消えません。

ここからは、家計や生活に直結する構造的なデメリットについて解説します。

地方財政の悪化と道路財源の不足

地方財政の悪化と道路財源の不足
出典:総務省

あまり意識されていませんが、私たちが払っているガソリン税の一部(地方揮発油税)や軽油引取税は、法的には一般財源化されているものの、実務上は地方自治体にとって道路整備や除雪などに充てられる非常に重要な財源となっています。

その額は地方分だけで年間約5,000億円とも試算されており、これが廃止によってゴッソリとなくなってしまうのです。

地方自治体にとって、この5,000億円は単なる数字ではありません。

地域の道路を直し、橋を架け替え、冬には雪をかくための「命綱」のようなお金です。

代替財源が確実に手当てされなければ、特に地方部では以下のような具体的な生活インフラの劣化が懸念されます。

道路インフラの老朽化放置

日本の道路や橋、トンネルの多くは高度経済成長期に作られ、今まさに一斉に更新時期を迎えています。

財源不足になれば、穴が開いた道路の舗装補修が後回しにされたり、老朽化した橋が「通行止め」のまま放置されたりするケースが増えるでしょう。

私の整備工場に来るお客様の車でも、悪路走行によるサスペンションの傷みやパンク修理が増えるかもしれません。

除雪体制の崩壊リスク

雪国にお住まいの方にとって切実なのが「除雪」です。

多くの自治体では、道路関連の予算を使って除雪業者への委託費を捻出しています。

もし財源が削られれば、除雪車の出動回数が減らされ、通勤通学の時間帯に道路が雪で埋もれて動けなくなる、物流がストップしてスーパーに商品が届かない、といった事態が現実味を帯びてきます。

「ガソリン代は安くなったけれど、そもそも雪で車が出せない」のでは本末転倒です。

さらに、不足分を補うために、教育や福祉に使われるはずの一般財源が道路維持に回され、結果として保育料の値上げや公共サービスの低下といった「住民サービスの共食い」が起きる可能性も、地方自治の現場からは強く懸念されています。

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走行距離課税などの新税導入リスク

走行距離課税などの新税導入リスク
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ガソリン税収が減ること、そして将来的に電気自動車(EV)やハイブリッド車が普及してガソリン消費そのものが減っていくことは、国にとって「道路を維持管理するための安定財源がなくなる」ことを意味します。

そこで、減った税収を埋めるための新たなアイデアとして、専門家や一部の政策議論の場で取り上げられているのが「走行距離課税」です。

これは文字通り、「車が走った距離に応じて税金を課す」という仕組みです。

GPSや走行距離計のデータをもとに、1kmあたり数円といった形で課税される案が検討されています。

この制度が導入されれば、燃費の良いエコカーに乗っていても、ガソリンを全く使わないEVに乗っていても、「走れば走るほど税金を取られる」ことになります。

地方在住者への壊滅的な打撃

都市部と違い、地方では通勤だけで往復数十キロ、買い物や病院に行くにも車で数十分という生活が当たり前です。

公共交通機関という選択肢がない地方在住者にとって、走行距離課税は「生活することへの罰金」のように重くのしかかります。

「ガソリン暫定税率廃止で安くなったと思ったら、それ以上に高い走行税を請求された」という未来が待っているかもしれません。

今回の暫定税率廃止は、既存の燃料課税システムの限界を露呈させ、こうした新しい(そして地方に厳しい)課税方式への移行議論を加速させるトリガーになる可能性が高いのです。

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消費税などの増税につながる可能性

消費税などの増税につながる可能性
出典:財務省

「とりあえず今のガソリン代が下がれば、財源のことは偉い人たちがなんとかしてくれるだろう」

正直なところ、私たち一般市民としてはそう思いたくもなります。

しかし、今回廃止される暫定税率分の税収は、先ほどもお伝えした通り年間約1.5兆円規模です。

これだけの巨額の穴を、国債の発行(借金)や、決算剰余金などの「一時的な財源(いわゆる埋蔵金)」だけで埋め続けることは、財政の仕組み上、不可能です。

では、一時しのぎの資金が底をついた時、最終的に何が起こるのでしょうか?

多くの経済アナリストや専門家が警鐘を鳴らしているのが、「消費税や所得税といった、他の税金の増税」というシナリオです。

「受益者負担」から「国民全員負担」へのすり替え

これまでのガソリン税は、「道路を使う人(車に乗る人)が、道路の維持費を負担する」という受益者負担の原則にある程度基づいていました。

しかし、その税収がなくなって足りない分を、もし「消費税」で補うことになればどうなるでしょうか。

不公平感の拡大と家計への副作用

車を全く持っていない人や、免許を返納した高齢者、公共交通機関で生活している学生からも、等しく徴収される消費税が、事実上の「道路財源」や「ガソリン減税の穴埋め」に使われる構図になります。

私たちドライバーにとっては、「ガソリンスタンドでの支払いは減ったけれど、スーパーでの買い物や光熱費、日用品の値段(にかかる税金)が上がって、結局トータルの出費は増えてしまった」という、まさに「朝三暮四」のような結果になりかねません。

特に、消費税は社会保障財源としての役割も担っているため、「ガソリンを安くするために、社会保障や子育て支援に回るはずのお金が使われる」という議論に発展すれば、世代間やライフスタイルの違いによる国民同士の対立を生むリスクすらあります。

「減税」という甘い響きの裏側で、将来的に自分たちの首を絞めるような「別の増税」が準備されていないか、私たちは厳しい目で監視していく必要があります。

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脱炭素社会や環境政策への悪影響

脱炭素社会や環境政策への悪影響
出典:朝日新聞

もう一つ、忘れてはならないのが「環境」との兼ね合いです。世界中が「2050年カーボンニュートラル(脱炭素)」に向けて舵を切る中で、化石燃料であるガソリンの税金を下げるという政策は、国際的な潮流とどう整合性を取るのでしょうか。

日本政府も、脱炭素社会の実現に向けて「GX(グリーントランスフォーメーション)」を推進しており、その一環として炭素排出に値付けをする「カーボンプライシング(炭素への課税)」の本格導入を予定しています。

カーボンプライシングとは?

二酸化炭素(CO2)を排出する企業や製品に対して金銭的な負担を求める仕組みです。

将来的には「炭素賦課金」などの形で、燃料価格に転嫁される可能性があります。

(出典:経済産業省 『成長志向型カーボンプライシング構想』

アクセルとブレーキを同時に踏む矛盾

ここで非常にちぐはぐな状況が生まれます。

  • 暫定税率廃止:ガソリン価格を下げて、消費者の負担を減らす(=ガソリン消費を抑制しない)
  • GX推進・炭素税:炭素価格を上乗せして、化石燃料のコストを上げ、脱炭素への移行を促す

このように、政府が「ガソリン税を下げます」と言いながら、一方で「炭素削減のために新しい負担をお願いします」と言い出しかねない状況なのです。

これでは、私たち国民は何を信じればいいのか分かりません。

また、ガソリン価格が下がって安価な状態が続けば、燃費の良いハイブリッドカーや、電気自動車(EV)へ乗り換えようとするインセンティブ(動機)が弱まります。

「ガソリンが安いなら、まだ今の車でいいか」「燃費は悪いけど大きな車を買おう」と考える人が増えれば、日本のCO2削減目標の達成が遠のき、国際社会から「日本は脱炭素に後ろ向きだ」と批判されるリスクもあります。

整備士としての実感ですが、お客様がエコカーを選ぶ最大の理由は「環境のため」以上に「維持費(ガソリン代)を安くしたいから」という現実的な側面が強いです。

その動機を削いでしまうことは、日本の自動車産業の電動化シフトを遅らせる副作用をもたらすかもしれません。

ガソリン暫定税率廃止のデメリットに関するよくある質問(FAQ)

Q
ガソリンの暫定税率は、結局いつから安くなるんですか?軽油は別なんですか?
A

現時点の方針では、ガソリン(揮発油税・地方揮発油税)の暫定税率25.1円/Lは2025年12月31日に廃止され、2026年1月1日(元日)から実質的に安くなる予定です。

一方、軽油(軽油引取税)の暫定税率17.1円/Lの廃止は2026年4月1日からとされています。ただし、2025年末〜2026年3月末までは軽油に対しても補助金が拡充され、暫定税率と同程度の値下げ効果が出るように設計されています。

そのため、税制上は「ガソリンだけ先に減税され、軽油は4月から本格減税」というずれがある一方で、実際の店頭価格としては極端な価格差や逆転現象は抑えられる見込みです。


Q
ニュースでは「25円安くなる」と言っていましたが、本当に店頭価格がそのまま25円/L下がるんですか?
A

理論上は、暫定税率25.1円/Lがなくなるので、その分ガソリン価格は下がる方向です。ただし実際の店頭価格は、

  • 原油価格・為替レート
  • 元売りの卸価格の変化
  • 補助金(燃料油価格激変緩和措置)の終了タイミング
  • スタンドの在庫(高い税率で仕入れたガソリン)
    などの影響を受けます。
    そのため、「翌日からきっちり25円下がる」とは限らず、地域や店舗によって差が出る・一時的に乱高下する可能性があります。テレビの数字はあくまで「税金の理論値」と理解しておくのがおすすめです。

Q
暫定税率がなくなるなら、将来の税金は安くなり続けると考えていいのでしょうか?
A

残念ながら、そう単純ではありません。暫定税率廃止によって、国と地方あわせて年間約1.5兆円の税収が減ると見込まれています。この穴埋めとしては、今後、

  • 走行距離に応じて負担する「走行距離課税」
  • 消費税や所得税など、別の税目の増税
  • カーボンプライシング(炭素賦課金など環境関連の新たな負担)
    といった議論が進む可能性があります。
    記事でも書いた通り、「ガソリン代が下がる代わりに、他の税や負担が増える」というシナリオも十分考えられますので、今後の税制改正の動きには注意が必要です。

Q
私はあまり車に乗らない/EV(電気自動車)に乗っているのですが、それでも今回の暫定税率廃止や将来の増税は関係ありますか?
A

直接のガソリン価格の恩恵は、当然ながら「ガソリンをよく使う人」が大きくなります。

一方で、暫定税率廃止による減収の穴埋めが「消費税」などの形で行われた場合、車に乗らない人やEVユーザーも含めて、国民全員が間接的に負担する構図になり得ます。

また、将来的に「走行距離課税」が導入されれば、EVやハイブリッド車でも「走れば走るほど課税」という形になる可能性があります。

つまり、ガソリン車に乗っていなくても、税制全体の組み替えの影響は受ける可能性が高いため、「自分には関係ない」と切り離さず、ニュースをチェックしておくことをおすすめします。

まとめ:ガソリン暫定税率廃止のデメリット

今回は、2025年末から予定されているガソリン暫定税率廃止について、単なる「値下げ」というニュースの裏側に潜む、構造的なデメリットや将来のリスクについて解説してきました。

私たちドライバーにとって、給油のたびに支払う金額が減ることは、間違いなく短期的なメリットです。

しかし、その「安さ」と引き換えに、私たちは以下のような「見えにくいコスト」を背負う可能性があることを理解しておく必要があります。

この記事の重要ポイントまとめ

  • 複雑な値下げ構造による混乱:ガソリンは「減税」、軽油は一時的に「補助金」と、値下げの仕組みが異なることで、現場の事務負担増やユーザーの誤解(買い控え等)が生じるリスクがある。
  • 価格の乱高下リスク:補助金の終了タイミングと減税開始が噛み合わない場合、一時的な価格高騰や供給不安が起きる恐れがある。
  • 地方インフラの劣化:約5,000億円もの地方財源が消えることで、道路の穴埋めや除雪がおろそかになり、生活の安全性や利便性が低下する(地方切り捨てのリスク)。
  • 将来の増税懸念:減収分の穴埋めとして、「走行距離課税」による地方負担増や、「消費税増税」による家計負担増、さらには「環境税」の導入など、別の形での徴収が待ち受けている可能性がある。

「安くなって良かった」と手放しで喜ぶだけでなく、これからの税制がどう変わっていくのか、浮いたガソリン代以上に他の税金が増えていないか、そして私たちの走る道路がちゃんと維持されているか。

そうした視点を持って、今後の政治や行政の動きをチェックしていくことが大切です。

自動車整備士として、皆さんには安全で快適なカーライフを送っていただきたいと願っています。

ガソリン価格の動向は車の維持費に直結しますので、引き続き新しい情報が入れば、このブログでも分かりやすく発信していきます。

※本記事は執筆時点(2025年)での情報および報道に基づいた予測を含みます。

具体的な税制改正の内容や施行時期については、必ず政府や関係省庁の公式サイトで最新情報をご確認ください。

また、家計や経営に関する最終的な判断は、税理士などの専門家へご相談されることを推奨します。

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